なぜあなたはその仕事を先送りしてしまうのか?
2010年、リンは横浜国立大学の堀之内准教授の講演会を聴講しました。 堀之内准教授は、心理・福祉領域、さらにビジネス関係でのコーチングなどで活躍されている統合的心理臨床のセラピストです。 講演会は、顧客からのクレームにどう対処すればよいのか?という内容でした。 講演会で、堀之内准教授が聴講者へコーチングの指導を実演してくれました。 コーチングの効果の大きさに驚きました。
早速、堀之内先生の本を探し、堀之内先生が監修された笹氣 健治著、堀之内 高久監修「なぜあなたはその仕事を先送りしてしまうのか? 」を購入しました。 カウンセリングとヒアリングに基づいた実践的な内容であり、リンの期待を大きく上回るすばらしい本でした。
目次を紹介します。 先送りの心理メカニズムの説明で始まり、どうやって先送りを克服すればよいのか、思考、感情および行動の3つのステップに分けて、丁寧に説明されています。
第1章 先送りの心理メカニズム
~何があなたの行動を妨げているのか?~
第2章 先送りする人が陥る5つの心理パターン
~自分の課題を確認する~
第3章 行動に移すための3つのステップ
~思考・感情・行動はコントロールできる~
第4章 ステップ1 思考レベルでの取り組み
~不都合な心情体系に気づき、見直す~
第5章 ステップ2 感情レベルでの取り組み
~行動の妨げになる感情を克服する~
第6章 ステップ3 行動レベルでの取り組み
~今、自分のやるべきことを明確にする~
第7章 それでもまだ行動できないあなたへ
~なぜ新しい方法を素直に受け入れられないのか?
このような先送りはありませんか?
誰にでも、先送りにしている仕事があるのではないでしょうか? 先送りしている仕事がないという方でも、私生活で先送りしていることはないでしょうか? 例えば、次のような先送りはないでしょうか?
・ ご無沙汰しているお客は訪問しづらい。
・ 飛び込みセールスをしなければいけないが、なかなかできない。
・ お客へ新製品をプレゼンしなければいけないが、プレゼン資料の作成が進まない。
・ 以前怒られたことのあるお客は訪問しづらい。
・ 期限ぎりぎりまで手をつけない仕事がある。
・ 上司にトラブルを相談できない。
・ 上司へ自分の意見を提案できない。
・ 部下のミスを叱れない。
・ 部下へ仕事を任せられない。
・ 他部門や社外との交渉ができない。
・ 英語の勉強が長続きしない。
・ 資格試験の受験勉強がはかどらない。
・ 投資の勉強をやろうと思っているが、何もできていない。
・ スポーツの練習をさぼってしまう。
・ 毎年1月に、その年の目標を掲げるが、達成したことがない。
・ 部屋の片づけができない。
・ 庭の手入れができない。
・ 車を洗車しようと思うが、後回しにしている。
先送りの心理メカニズム
人が行動に至るまでの過程は次の通りです。 先送りする場合は、感情が行動を妨げています。
【先送りしない場合】 (思考) → (感情) → (行動)
【先送りする場合】 (思考) → (感情) →× (行動)
例えば、「ご無沙汰しているお客を訪問する」場合、次のようになります。
【先送りしない場合】
(思考)訪問しなければいけない → (感情)頑張って情報を得よう → (行動)訪問
【先送りする場合】
(思考)ご無沙汰したので忘れられたかもしれない → (感情)忘れられていたらどうしよう →× 先送り
さて、感情が行動を先送りする原因であることが分かりました。 それでは、なぜ、先送りの原因となるような感情が生まれるのでしょうか? それは、思考の違いから生まれています。 「ラッキーをつかみ取る技術」で述べたように、ものごとには、いい面と悪い面があります。 それでは、どうして、人によって、ものごとのいい面を見たり、悪い面を見たりといった違いが生じてしまうのでしょうか?
人の思考は次のように生まれます。
(出来事) → (信条体系) → (自動思考)
例えば、「浮浪者がゴミ箱をあさっている」という出来事を見た場合の思考にも次のように違いが生まれます。
(信条体系)人は職に就かなければならない → (自動思考)仕事をしない怠け者だ!
(信条体系)職がなくてかわいそう → (自動思考)一生懸命、ゴミ箱の空き缶を回収して働いている。
いかがですか? 信条体系って重要ですね。 先送りをなくすためには、自分の信条体系に気づき、見直す必要がありますね。
先送りする人が陥る5つの心理パターン
カウンセリングとヒアリングの結果、先送りする人が陥る心理パターンが次の5つに分類できたそうです。 カッコ書きでリンが心理パターンを補足説明しました。
(1) 完璧をめざしすぎてしまう
(完璧をめざすと多くの時間がかかり、苦しい。その苦痛が先送りを引き起こす)
(2) 効率を求めすぎてしまう
(まとまった時間を作ってやった方が効率がよいと考え、物事を先送りする)
(3) 結果を怖がりすぎてしまう
(失敗したらどうしよう?と不安を持ち、行動できない)
(4) もともとニーズがないことをやろうとしている
(必要のないことは先送りしてしまいますね)
(5) 自分の可能性を狭くすることを恐れている
(1つのことに没頭すると、他の自分の可能性を失ってしまうと考え、何事にも没頭できない)
リンが同僚に「先送りする人が陥る5つの心理パターン」を紹介したら、同僚が自分にも当てはまる心理パターンがあると感心し、好評でした。 読者の皆さんに当てはまるのはどの心理パターンでしょうか?